動画で話したこと

動画では、12歳の時点で自分のスマートフォンを持っていたかどうかと、その2年後の「摂食障害の兆し」との関連を調べた論文を紹介しました。

先に、いちばん大事なところを書きます。

動画の題にある「4人に1人」は、摂食障害と診断された子の割合ではありません。食べ方や体重についての悩みや行動があるかを4つの質問で聞かれて、「はい」と答えた子の割合です。

数字で言うと、12歳でスマートフォンを持っていた子のうち、14歳の時点で4つのどれかに「はい」と答えたのは24.2%でした。持っていなかった子は15.5%でした。4分の1近く、という言い方は論文自身がしています。

条件をそろえたうえでの比では、12歳で持っていた子が14歳で4つのどれかを報告するリスクは、持っていなかった子に比べて1.49倍でした。幅は1.19から1.87までです。

そのうえで動画がいちばん時間を使ったのは、この24.2%が何を数えた割合なのかというところでした。論文が引いている米国の思春期の摂食障害の割合は、女子が3.4%から3.8%、男子が1.2%から1.5%です。24.2%とは、数の大きさが大きく違います。つまりこの研究が数えているのは、病気そのものではなく、その手前の目安です。

そして、スマートフォンのせいだとは確かめられていません。著者自身が、ランダムに割り付けていないので因果は確かめられない、逆向きの順番も否定できないと書いています。

短い動画で話せたのは、ここまででした。

この記事では、そこから先に進みます。誰を、どう分けて、いつ測ったのか。24.2%は「2年のあいだに新しく出た割合」なのか。4つの質問は、項目ごとに結果がどう違ったのか。動画が時間の都合で出せなかった数字を、全部並べます。

先に2つ書いておきます。

この記事は、スマートフォンを持たせることについて、どうすればよいかを助言するものではありません。この研究は、持たせる時期を動かしていません。何歳からなら安心か、遅く持たせれば防げるか、という問いに答えられる形をしていません。

そして、持たせた側を責める記事でもありません。持っていた子と持っていなかった子は、比べる前から家庭の状況まで違う子たちでした。この研究で分かるのは、2つのグループで報告の割合が違ったというところまでです。

誰を、どう分けて、いつ測ったか

くじ引きはありません

この研究は観察研究です。すでに続いているコホート研究の記録を使って、あとから比べています。参加者をくじ引きで2つに分けて、片方にスマートフォンを渡し、片方に渡さない、という場面はどこにもありません。

ですから、薬や治療の試験でよく出てくる「割り付けどおりに比べたのか、実際に受けたかどうかで比べたのか」という区別は、この研究には当てはまりません。割り付けそのものが無いからです。

代わりに、この研究で子どもが2つに分かれた基準は、こうです。

  • 持っていた子:12歳の時点で、自分のスマートフォンを持っていると保護者が答えた子
  • 持っていなかった子:12歳の時点で、持っていないと保護者が答えた子

所持のデータが無い子は、解析から外されています。また、所持の質問に「はい」か「いいえ」で答えられた子だけに解析を限っています。

「12歳」とは何歳か

論文は、12歳を12.00歳から12.99歳と定義しています。誕生日を迎えてから次の誕生日の前日までの1年間、という意味です。

日本の学年に置き換えると、12歳は小学6年から中学1年にあたります。ただし、この論文に学年の情報はありません。米国の研究なので、日本の学年という区切りはそもそも出てきません。この記事で学年に触れるのは、年齢の見当をつけるためだけです。

もう1つ、見落としやすい点があります。

この研究が比べたのは「12歳の時点で持っていたかどうか」で、「何歳で持ち始めたか」ではありません。保護者は、初めて機器を手にした年齢も答えています。ですが主要な曝露として使われたのは、12歳の時点での所持の有無です。つまり、11歳で持ち始めた子も、12歳になってから持ち始めた子も、12歳のときの調査で保護者が「持っている」と答えていれば同じ側に入ります。どちらの側に入るかは、12歳のときに答えた時点での所持で決まります。

どこから集めた子どもたちか

土台は ABCD 研究(Adolescent Brain Cognitive Development Study)です。米国の21か所の施設で、学校を層化した確率抽出で集められた思春期のコホートです。集めるときのかたよりを小さくするために、人種、民族、社会経済状況、都市度にもとづいて一部の学校を多めに抽出した、と書かれています。

使われたのは、この研究の year 2(2018年から2020年)から year 6(2022年から2024年) までのデータです。参加者がいつ各回の調査を受けたかによって、期間は重なりうると論文は断っています。

スマートフォンの所持のデータは year 2(2018年から2020年)から year 4(2020年から2022年) に集められました。兆しは year 2、year 4、year 6 に測られ、そのうち12歳と14歳の時点に注目しています。

追跡の長さは、12歳から14歳の2年間です。

中央の倫理委員会の承認は University of California, San Diego と各施設から得られており、書面による同意とアセントを参加者と保護者・養育者から得たと書かれています。報告はコホート研究の STROBE という指針に沿っています。

答えたのは誰か。ここが揃っていません

これは動画では一言しか触れられなかった点です。

  • スマートフォンを持っているかどうかを答えたのは、保護者・養育者です。自分の携帯を持っているか(はい/いいえ)、持っているなら機種(iPhone、Android、その他)と、初めて手にした年齢を答えています。その他の機種は、この研究では扱われていません
  • 食べ方や体重についての兆しを答えたのは、子ども自身です。Kiddie Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia(KSADS)という道具を使った、本人の申告です

つまり、比べている2つの情報は、答えた人が違います。片方は保護者が見た事実、もう片方は子どもが自分で申告した内容です。著者も限界の節で、兆しが本人の申告であることから報告のかたよりがありうると書いています。

なお、この記事では「保護者」と書きますが、論文の書き方は「親または養育者」です。学歴の共変量も「親または養育者の最終学歴」で、親だけを指しているわけではありません。

測ったのは、4つの質問です

子どもが答えたのは、次の4つです。それぞれ「あった/なかった」の2択です。

  1. むちゃ食いがあったか
  2. 体重が増えないようにする、不適切な行動をとったか
  3. 体重が増えることへの心配があったか
  4. 自分の価値を体重に結びつけていたか

そして、このどれか1つでも「はい」なら「いずれかの兆しあり」として数えられます。これが24.2%の正体です。

2番目の「不適切な行動」について、具体的に何をしたかは論文に書かれていません。質問の中身をまとめた表は補足の資料にあります。

ここで大事なのは、この測り方は著者が意図して選んだものだということです。著者は強みの節で、兆しを測ることによって「診断の基準に届かない段階の乱れた食行動も拾える」と書いています。診断がついた人だけを数えると、その手前の段階が全部こぼれてしまうからです。

ですから、兆しを測ったことはこの研究の弱点ではありません。誤解が生まれるのは、この数字を受け取る側が「兆し」を「摂食障害」と言い換えたときです。

2つの解析があります

論文は、解析を2つに分けています。ここを区別しないと、同じ項目で違う数字が出てくる理由が分からなくなります。

  • 断面の解析:12歳の時点の所持と、同じ12歳の時点の兆しを並べたものです。同時に測っているので、どちらが先かは分かりません。ここで出てくるのは有病率比という値です
  • 縦断の解析:12歳の時点の所持と、14歳の時点の兆しを並べたものです。こちらは12歳の時点の兆しも調整したうえで見ています。ここで出てくるのはリスク比という値です

動画で出した1.49は、縦断のほうの「いずれかの兆し」の値です。

縦断のほうが、順番の点では強い形をしています。先に所持を見て、あとから兆しを見ているからです。そして12歳の時点で既にあった兆しを差し引いているので、「もとからあった分」はある程度条件づけられています。

ただし、それでも因果が確かめられたわけではありません。あとの節で詳しく書きます。

何を差し引いたのか(共変量の全一覧)

動画では「家庭の収入や保護者の学歴の違いは差し引いた数字です」と1文で済ませました。実際に調整されたものを、全部並べます。いずれも year 2 の時点で測られたものです。

  • 性別(女子を基準)
  • 人種(黒人、白人を基準、その他)
  • 民族(ヒスパニックか、非ヒスパニックを基準とするか)
  • 世帯の年収(49,999ドル以下、50,000〜99,999ドル、100,000ドル以上を基準)
  • 保護者・養育者の最終学歴(高校以下、大学以上を基準)
  • 施設
  • 注意欠如・多動の症状(Child Behavior Checklist。保護者・養育者の申告)
  • 抑うつの症状(同じ道具。保護者・養育者の申告)
  • 思春期の段階(子どもの申告)
  • 保護者の見守りの得点(子どもの申告)
  • 体重
  • タブレットの所持
  • iPod などの似た機器の所持
  • ノートパソコンの所持
  • スマートウォッチの所持

最後の4つは「スマートフォンそのものの影響を切り分けるため」に入れられたものです。ほかの機器を持っているかどうかをそろえたうえで、スマートフォンの所持だけを見ようという考え方です。

縦断の解析では、ここにさらに12歳の時点の兆しが足されます。

計算の形は、ポアソン分布と対数リンクを使った一般化線形モデルです。検定は両側で、p が0.05より小さいときに統計的に意味があるとしています。解析は2025年から2026年に Stata 18.0 で行われました。

ここで1つ、はっきり書いておきます。差し引けたのは、測れた違いだけです。著者自身が、多くの交絡因子を調整しても残った交絡がありうると書いています。さらに、早くスマートフォンを持った子は、測っていない特徴の点で系統的に違うかもしれないとも書いています。

重み付けについて

論文の割合には、米国国勢調査局の American Community Survey に合わせた重み付けが使われています。標本の構成を、米国の人口の構成に近づけるための調整です。

この結果、論文の表の読み方に1つ注意が必要になります。論文の表に載っている人数は重み付けをしていない実数で、割合は重み付けをした値です。注にもそう書かれています。ですから、人数を分母で割り直しても、表示されている割合にはなりません。これは誤りではなく、そういう作りです。

この点は、あとの節でもう一度出てきます。

比べる前から違っていた子たち

2つのグループは、比べる前からいくつもの点で違っていました。論文の Table 1 が、その違いを並べています。

差がはっきり出たものを並べます。どれも、はじめの数字が持っていなかった子(2732人)、あとの数字が持っていた子(6225人)です。

  • 女子:41.3%と51.2%(p<.001)
  • 黒人:9.4%と16.2%、白人:76.4%と67.9%、その他:14.2%と15.8%(3つまとめて p<.001)
  • ヒスパニック:18.9%と25.6%(p=.001)
  • 世帯の年収が49,999ドル以下:26.5%と33.4%、100,000ドル以上:42.7%と36.2%(年収の区分をまとめて p=.001)
  • 保護者・養育者の学歴が高校以下:12.7%と16.8%(p=.03)
  • 思春期が中期以降:53.9%と65.8%(p<.001)
  • 体重の平均:46.7kgと50.8kg(p<.001)
  • ノートパソコンを持っている:26.5%と41.4%(p<.001)
  • スマートウォッチを持っている:2.5%と6.7%(p<.001)
  • iPod などを持っている:16.0%と8.2%(p<.001)

差がはっきりしなかったものは、文で書いておきます。タブレットの所持は46.1%と43.7%で、p は .21 でした。注意欠如・多動の症状の平均は53.6と53.2で、p は .12。抑うつの症状の平均はどちらも54.1で、p は .68。保護者の見守りの得点の平均は4.4と4.5で、p は .25 でした。

p は、その項目全体についての値です。たとえば年収なら、3つの区分をまとめて1つの p が付いています。1行ごとの検定の結果ではありません。

論文の地の文が挙げている違いは、こうです。持っていた子のほうが、女子が多く、黒人とヒスパニックが多く、世帯の収入と保護者の学歴が低く、思春期が進んでおり、ほかの個人用の機器(例としてノートパソコンとスマートウォッチ)も持っていた、と書かれています。体重の差は地の文にはなく、論文の Table 1 に出ています。

機器の所持については、もう少し書いておきます。論文の地の文は、持っていた子は「ほかの個人用の機器も持っていた(例としてノートパソコンとスマートウォッチ)」と書いたうえで、続けて持っていなかった子のほうが、タブレットと iPod を持っている割合が高かったとも書いています。つまり、機器ごとに向きがそろっていないところまでは、論文自身が書いています。

論文の Table 1 で確かめると、iPod は確かに持っていなかった子のほうが多い一方(16.0%と8.2%、p<.001)、タブレットは46.1%と43.7%で、p は .21 と差がはっきりしません。この記事が論文の Table 1 から新たに言えるのは、このタブレットの差がはっきりしないことだけです。

いずれにしても、2つのグループは「スマートフォンを持っているかどうかだけが違う、あとは同じ子たち」ではありませんでした。

「4人に1人」は、何を数えた割合か

まず、もとの割合を全部並べます

動画では、14歳での「いずれかの兆し」の割合だけを出しました。ここでは4項目と「いずれか」の、12歳と14歳の割合を全部並べます。どちらの時点も、分ける基準は12歳の時点でスマートフォンを持っていたかです。14歳のほうも、14歳の所持で分けたものではありません。以下はどれも、はじめの数字が持っていなかった子、あとの数字が持っていた子です。

12歳の時点

  • むちゃ食い:6.0%と9.2%(p=.003)
  • 体重を増やさない不適切な行動:5.3%と8.2%(p=.005)
  • 体重が増えることへの心配:1.2%と2.0%(p=.02)
  • 自分の価値を体重に結びつける:1.1%と2.6%(p=.001)
  • いずれか:11.3%と16.1%(p=.002)

14歳の時点

  • むちゃ食い:6.5%と9.2%(p<.001)
  • 体重を増やさない不適切な行動:12.7%と20.5%(p<.001)
  • 体重が増えることへの心配:1.6%と2.3%(p=.36)
  • 自分の価値を体重に結びつける:3.5%と7.8%(p<.001)
  • いずれか:15.5%と24.2%(p<.001)

これらは交絡を調整する前の、そのままの割合です。あとの節で出てくる1.49などの比とは、別の数字です。

論文は、持っていた子のほうが12歳でも14歳でもすべての兆しの割合が高かったと書いています。

24.2%は「2年のあいだに新しく出た割合」ではありません

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

動画の題の後半は「2年後に4人に1人が?」でした。この書き方だと、2年のあいだに新しく4人に1人が当てはまるようになった、と読めてしまいます。

ですが、1つ前の節に並べた12歳の時点の割合を見てください。12歳の時点でも、持っていた子の16.1%、持っていなかった子の11.3%が、すでに「いずれかの兆しあり」と報告しています。

そして、もう1つ。12歳の時点で持っていた子の16.1%と、14歳の時点で持っていなかった子の15.5%は、ほぼ同じ割合です。ただし、この2つは違うグループの違う時点の数字で、論文がこの2つを並べて比べているわけではありません。ここで見たいのは、持っていなかった子でも、14歳では15.5%まで上がっているという点です。この割合の大きさ自体は、スマートフォンの所持で決まっているわけではありません。

4つの質問のどれかに「はい」と答えた子の割合(100人あたり)

4つの行はどれも、12歳の時点でスマートフォンを持っていたかどうかで分けたものです。14歳の2行も、14歳での所持で分けたものではありません。上から順に見ていきます。

いちばん上の行が、12歳の時点で自分のスマートフォンを持っていなかった子です。12歳の時点で、100人のうち11人が、4つの質問のどれかに「はい」と答えていました(11.3パーセント)。

2行目が、12歳の時点で持っていた子です。同じ12歳の時点で、100人のうち16人が「はい」と答えていました(16.1パーセント)。つまり、追跡が始まる時点で、すでに両方のグループに報告があります。

3行目は、2年後の14歳の時点です。12歳で持っていなかった子は、100人のうち16人になりました(15.5パーセント)。2行目と見比べてください。丸めるとどちらも16人です。

いちばん下が、12歳で持っていた子の14歳の時点です。100人のうち24人(24.2パーセント)。これが「4人に1人」と呼ばれている割合です。4つを続けて見ると、24.2パーセントが2年のあいだに新しく出た割合ではないことと、持っていなかった子でも14歳では16人になっていることが分かります。この4つはどれも、交絡を調整する前のそのままの割合です。

12歳での報告・12歳で持っていなかった子(11.3%)100人中 11人
12歳での報告・12歳で持っていた子(16.1%)100人中 16人
14歳での報告・12歳で持っていなかった子(15.5%)100人中 16人
14歳での報告・12歳で持っていた子(24.2%)100人中 24人

論文の割合は、12歳の時点で持っていなかった子が11.3パーセント、持っていた子が16.1パーセント、14歳の時点で持っていなかった子が15.5パーセント、持っていた子が24.2パーセントです。この図は整数に丸めて11人、16人、16人、24人にしています。15.5パーセントと16.1パーセントは、丸めるとどちらも16人になります。4つの行はすべて、12歳の時点でスマートフォンを持っていたかどうかで分けたものです。14歳の2行も、14歳での所持で分けたものではありません。割合は米国の人口の構成に合わせた重み付きの値で、交絡を調整する前のそのままの割合です。 数字の見方を学ぶための図で、個人の予測ではありません。

論文のどこ:論文の Table 1 の下のほう、ED symptoms と書かれた2つのかたまりの、それぞれ最後の行(Any ED symptom)です

なお、動画で出した1.49という比は、12歳の時点の兆しを差し引いた値です。倍率のほうは、もとからあった分をある程度条件づけてあります。割合の24.2%と、比の1.49は、作り方が違う数字です。混ぜないでください。

24.2%を、背景の割合と並べます

論文の冒頭には、この24.2%を受け取るための材料が置かれています。著者が別の研究から引いている数字です。

  • 米国の思春期の摂食障害:女子が3.4%から3.8%、男子が1.2%から1.5%
  • 16か国のデータを集めた系統的レビュー:思春期の5人に1人強が、何らかの乱れた食行動をしている

並べてみます。

  • 14歳での「いずれかの兆し」、12歳で持っていた子:24.2%
  • 14歳での「いずれかの兆し」、12歳で持っていなかった子:15.5%
  • 16か国の系統的レビューの、思春期の乱れた食行動:5人に1人強
  • 米国の思春期の摂食障害、女子:3.4〜3.8%
  • 米国の思春期の摂食障害、男子:1.2〜1.5%

並べた数字は、測り方が3通りです。測り方も対象も違います。並べているのは数の大きさの段だけで、同じものを測った数字ではありません。この研究が数えたのは4つの質問への「はい」で、16か国のレビューが数えたのは何らかの乱れた食行動、残る2つは摂食障害の有病率の推計です。

24.2%と15.5%は、摂食障害の割合とは数の大きさの段が違います。ここで「何倍か」という割り算をしているわけではなく、並べたときの大きさの段が違う、という意味です。

そして、24.2%は16か国のレビューの「5人に1人強」と数の大きさの段が同じです。この研究が数えているのは、診断のついた病気ではなく、その手前の広い段階だということが、論文自身の冒頭の記述からも分かります。

ここは、軽く扱うところではありません。論文は、診断の基準に届かない段階の乱れた食行動も、生活の支障や、時間とともに症状が進む危険と結びつきうると書いています。摂食障害そのものについても、深刻で、命に関わることもある状態だと書いています。ですから「兆しだから気にしなくてよい」という話ではありません。

ここで言いたいのは1つだけです。「摂食障害が4人に1人」と「4つの質問のどれかに『はい』と答えた子が4人に1人」は、違うことを指しています。

人数と割合が合わないこと

もう1つ、論文の表を見るときに知っておくと役に立つことがあります。

24.2%にあたる人数は、619人と書かれています。12歳でスマートフォンを持っていた子は6225人です。では619を6225で割れば24.2%になるか。なりません。約9.9%です。

理由は、表の注に2つ書かれています。

  1. 人数は重み付けをしていない実数で、割合は重み付けをした値です。だから人数から割合を計算し直すと合いません
  2. 欠測があるため、分類ごとの合計が、その列の標本の大きさと合わないことがあります

この2つのうち、どちらがどれだけ効いているかは、論文の記述からは分かりません。表の注と人数から言えるのは2つです。14歳の時点で質問に答えられたのは、12歳の時点で解析に入った全員ではありません。そして、14歳の時点で答えがそろったのが何人だったかは、論文の本文には書かれていません。割合が重み付きなので、割り算で人数を戻すこともできません。

同じことを別の角度から見ると、こうなります。論文の Table 1 の全体(8957人)の列で、むちゃ食いがあったと答えた人数は、12歳で405人、14歳で285人です。人数は減っていますが、同じ列の割合は8.2%と8.3%でほとんど同じです。測った人数そのものが14歳では少なくなっている、ということです。

この割り算は、この記事が確かめるためにしたものです。論文が書いている計算ではありません。そして、これは論文の誤りでもありません。人数と割合の意味が違う、ということです。

結果を、幅で見る

調整したあとの、縦断の結果

ここからが、条件をそろえたあとの数字です。まず縦断の解析、つまり12歳の所持と14歳の兆しを、12歳の兆しも差し引いたうえで並べたものです。

12歳での所持と、14歳での兆しの関連(調整後のリスク比と、その幅)

まず縦の線を見てください。1のところに引いてあります。倍率の指標なので、ここが「差がない位置」です。線より右なら、持っていた子のほうが報告が多かった向きです。

1つめ、いずれかの兆しです。1.49で、幅は1.19から1.87。幅は1をまたいでいません。動画で出した数字がこれです。

2つめ、むちゃ食いです。1.67で、幅は1.11から2.52。またいでいませんが、幅はいずれかの兆しより広いです。当てはまる人数が少ないほど、幅は広くなります。

3つめ、体重を増やさないための不適切な行動です。1.50で、幅は1.16から1.94。またいでいません。この項目は、あとで出てくる12歳の時点の解析では1をまたいでいました。同じ項目でも、見ている時点によって結果が違います。

4つめ、体重が増えることへの心配です。1.02で、幅は0.51から2.05。1をまたいでいます。この項目だけ、差がはっきりしませんでした。論文の考察も、調整後のモデルでは関連しなかったと書いています。

5つめ、自分の価値を体重に結びつけることです。2.03で、幅は1.28から3.19。5つのなかで中心の値はいちばん大きく、幅も広めです。

全体を見ると、5つのうち4つは幅が1をまたいでおらず、1つだけまたいでいます。そして幅の広さは項目によって大きく違います。中心の数字だけを並べると、この違いが見えなくなります。

いずれかの兆し1.49(1.19 〜 1.87)
むちゃ食い1.67(1.11 〜 2.52)
体重を増やさない不適切な行動1.5(1.16 〜 1.94)
体重が増えることへの心配1.02(0.51 〜 2.05)
自分の価値を体重に結びつける2.03(1.28 〜 3.19)
差がない位置1

倍率なので、差がない位置は1です。幅は95パーセント信頼区間です。幅が1をまたいでいるものは、この研究の人数では差がはっきりしなかった、という意味になります。差が無いと確かめられたという意味ではありません。どの値も、12歳の時点でスマートフォンを持っていなかった子を基準にしています。比べる相手が同じなので、5つの行は同じ目盛りで読めます。

論文のどこ:論文の Table 2 の右側の2列(Longitudinal analysis)です。文章では Results の最後の段落の後半にあります

調整したあとの、断面の結果

次に断面の解析です。12歳の所持と、同じ12歳の時点の兆しを並べたものです。同時に測っているので、どちらが先かは分かりません。

12歳での所持と、同じ12歳での兆しの関連(調整後の有病率比と、その幅)

こちらも、差がない位置は1です。縦の線がそこに引いてあります。

いずれかの兆しは1.36で、幅は1.09から1.70。またいでいません。2年後を見たときの1.49より、中心の値は小さいです。

むちゃ食いは1.61で、幅は1.17から2.23。またいでいません。

体重を増やさないための不適切な行動は1.31で、幅は0.94から1.83。こちらは1をまたいでいます。2年後を見た図では、同じ項目が1.50で1をまたいでいませんでした。見ている時点が違うと、結果が変わります。

体重が増えることへの心配は1.30で、幅は0.57から2.95。こちらも1をまたいでいます。幅がとても広いことに注目してください。この項目に当てはまる子が少なかったためです。

自分の価値を体重に結びつけることは2.21で、幅は1.03から4.74。幅の下端が1.03で、かろうじて1を超えています。上端は4.74で、幅の広さは5つのなかでいちばんです。中心の2.21だけを見て「2倍以上」と受け取ると、この幅が見えません。

まとめると、断面では5つのうち2つが1をまたいでいます。2年後を見たときにまたいでいたのは1つだけでした。どちらの図も同じ論文の、同じ表に並んでいる数字です。

いずれかの兆し1.36(1.09 〜 1.7)
むちゃ食い1.61(1.17 〜 2.23)
体重を増やさない不適切な行動1.31(0.94 〜 1.83)
体重が増えることへの心配1.3(0.57 〜 2.95)
自分の価値を体重に結びつける2.21(1.03 〜 4.74)
差がない位置1

倍率なので、差がない位置は1です。幅は95パーセント信頼区間です。こちらは所持と兆しを同じ時点で測っているので、どちらが先かは分かりません。前の図とは、比べている時点も、調整している中身も違います(前の図は12歳の時点の兆しも差し引いています)。そのため、2つを1つの図に混ぜていません。

論文のどこ:論文の Table 2 の左側の2列(Cross-sectional analysis)です。文章では Results の最後の段落の前半にあります

同じ項目で、2つの数字が違うこと

動画では「12歳の時点では、体重を増やさないための行動も幅が1をまたぎました」と話しました。1.31で、幅は0.94から1.83です。

ですが、これだけを読むと「この項目は関連がなかった」と受け取られます。実際はそうではありません。同じ項目を2年後で見ると、1.50で、幅は1.16から1.94です。1をまたいでいません。p の値は0.002です。

体重を増やさないための不適切な行動について、2つの数字を並べておきます。

  • 断面の解析(12歳の所持と、同じ12歳の兆し):1.31、幅は0.94から1.83、p=.11
  • 縦断の解析(12歳の所持と、14歳の兆し):1.50、幅は1.16から1.94、p=.002

同じ項目で向きは同じですが、幅が1をまたぐかどうかが変わっています。14歳の時点では、この項目に当てはまると答えた子の割合が大きく増えています(持っていた子で20.5%、持っていなかった子で12.7%)。一般に、当てはまる人数が多いほど幅は狭くなりやすい、という性質があります。

ただし、この2つの数字の違いがどこから来たのかについて、論文に説明はありません。人数だけが理由だとも言えません。2つは測った時点が違い、2年後のほうは12歳の時点の兆しも差し引いています。

ですから、この項目について正しく言えるのは「12歳の時点では幅が1をまたいだが、14歳の時点ではまたがなかった」です。どちらか片方だけを言うと、違う印象になります。

「体重が増えることへの心配」だけが、両方で1をまたぎました

4項目のなかで、断面も縦断も幅が1をまたいだのは、この項目だけです。1.30(0.57〜2.95)と1.02(0.51〜2.05)です。

論文の考察は、はっきり書いています。調整したモデルでは、体重が増えることへの心配はスマートフォンの所持と関連しなかった。そして理由の見立ても添えています。この集団では、体重が増えることへの心配を報告した子がそもそも少なく、所持による差を見つける力が限られたかもしれない、と。

実際、12歳の時点でこの項目を報告したのは全体で73人(1.8%)で、4項目のなかでいちばん少ないものでした。14歳でも76人(2.1%)です。

ここは、幅の読み方の練習になります。幅が1をまたいだことは、「差がない」と確かめられたことではありません。「この人数では、差があるともないとも言い切れない」という意味です。この項目では、幅の上端が2.95や2.05まで伸びています。大きめの関連も、小さめの関連も、このデータでは否定できていません。

性別で分けた結果について

論文は、性別との交互作用の証拠があった評価項目について、性別で分けた結果を出しています。本文で層別の結果が述べられているのは、体重が増えることへの心配についてのものだけです。ほかの項目がどうだったかは、本文からは分かりません。

書き方を2か所並べておきます。

  • 結果の節:調整したモデルの断面の解析で、スマートフォンを持っていた女子は、男子より体重が増えることへの心配を多く報告した
  • 考察:性別で分けた解析では、12歳の時点の所持と体重が増えることへの心配の断面の関連が、女子でははっきり出たが、男子では出なかった

同じことを指していると読めますが、言い方は違います。前者は女子と男子を比べた形、後者は女子の中での関連を見た形です。

この結果の数字は、補足の表にあります。ですから、この記事では向きだけを書きます。どちらの書き方も、断面の解析についてのものです。

要旨には、どの数字が並んでいるか

論文の要旨を読むと、断面で3つ、縦断で4つの数字が並んでいます。むちゃ食い、自分の価値を体重に結びつけること、いずれかの兆し。縦断ではそこに、体重を増やさないための不適切な行動が加わります。

つまり、要旨に数字が並んでいるのは、幅が1をまたがなかった項目だけです。体重が増えることへの心配(断面も縦断も)と、断面の不適切な行動の数字は、要旨の結果の段落には出てきません。

ただし、著者が隠しているわけではありません。

  • 要旨の「主な評価項目」の欄には、4項目とも名前が挙がっています
  • Table 2 には、1をまたいだ3つの値もそのまま載っています
  • 考察では「体重が増えることへの心配は、調整したモデルでは関連しなかった」と、言葉で書いています

要旨だけを読むか、表まで見るかで、受け取る印象が変わる。これは多くの論文に当てはまります。

この研究では言えないこと

著者が挙げている限界(8つ)

論文の限界の節に書かれているものを、全部並べます。

  1. 兆しは子ども自身の申告なので、報告のかたよりがありうる
  2. 多くの交絡因子を調整したが、残った交絡がありうる
  3. 考慮していない要因がある。学校やネットのいじめ、神経発達の状態、もともとあった、あるいは出てきた心の健康の問題。摂食障害はこうした要因からも生じうると論文は書いています
  4. ランダムに割り付けていない。逆向きの因果も否定できない。したがって因果関係は確かめられない。縦断の形であることは強みだが、それでも、と著者は書いています
  5. ほかの機器の所持は考慮したが、何を見ていたか、どう使っていたかは測っていない。スマートフォンを持っているかどうかだけでは、見ていた中身や使い方は分かりません
  6. 早くスマートフォンを持った子は、測っていない特徴の点で系統的に違うかもしれない。それが観察された関連の一部を作っている可能性があると書かれています
  7. 欠測で除外された人は、人種的・民族的少数派であることや、保護者の収入と学歴が低いことが多かった。抽出のかたよりが入り、その人たちへの当てはめは限られます
  8. 兆しを「あり/なし」の2択にしたので、重さの違いや、摂食障害のほかの側面を捉えられない

この記事から足す、4つのこと

ここから先は、この記事が本文を読んで足したものです。論文がこの言い方で書いているわけではありません。

(1) 「何歳からなら安心か」には答えていません

この研究が比べたのは、12歳の時点で持っていた子と持っていなかった子の2つのグループだけです。持たせる時期を動かしてみた、という場面はありません。ですから「何歳からなら安心か」「遅く持たせれば防げるか」には、この形では答えられません。

論文の結びは、保護者への案内や政策の話に進んでいます。ただし、この研究はその案内や政策を試した研究ではありません。この記事でも、持たせ方や使わせ方について助言はしません。

(2) 日本の子どもではありません

調べたのは米国の21施設で集められた子どもたちです。日本のデータは入っていません。学校の形、機器の普及の度合い、食や体型についての周りの空気は、国によって違います。

(3) 断面の解析は、前後関係すら分かりません

12歳の所持と12歳の兆しを同時に測っています。先に兆しがあった子があとから持ったのか、逆なのかは、この形では分かりません。縦断のほうは順番がついており、12歳の兆しも差し引いていますが、それでも著者は因果は確かめられないと書いています。

(4) 14歳の時点で答えがそろった人数が分かりません

前の節で書いたとおりです。24.2%の分母にあたる人数は、論文の本文に書かれていません。著者は、欠測で解析から外れた人が、残った人と系統的に違いうることを限界に挙げています。ただし、14歳の時点で答えがそろった人数そのものは示されていません。

仕組みの話は、すべて仮説です

論文の考察には、なぜこうした関連が出るのかという説明がいくつも書かれています。

  • 監督のない個人用のスマートフォンは、1人で途切れずに中身を見る機会を増やす
  • 社会的比較や、問題のある SNS の使い方への曝露が増えるかもしれない
  • 報酬に関わる働きや衝動性が、むちゃ食いと共通しているかもしれない
  • 理想化された身体の投稿に触れる期間が長いほど、体型への不満や乱れた食行動と結びつくかもしれない
  • 見た目についての圧力が、見た目を極端に最適化しようとするネット上の流行に表れているかもしれない
  • 夜のスマートフォンの使用が睡眠を乱し、食欲の調節や感情の反応に影響するかもしれない

これらは、この研究で確かめられたものではありません。論文自身が「いくつかの仕組みで説明されうる」という形で書いています。論文は、今後の研究で、SNS への曝露、睡眠の乱れ、身体のイメージに関わる過程などの役割を明らかにする必要があると書いています。

資金と利益相反

この研究は米国 NIH の助成を受けています。ABCD 研究そのものも、NIH と連邦のほかの機関からの多数の助成で支えられています。

利益相反の申告はありません。そして、資金の提供者は、研究の設計と実施、データの収集・管理・解析・解釈、論文の作成・確認・承認、投稿の判断のいずれにも関与していないと書かれています。申告されている資金は NIH と連邦の機関のものだけで、企業の名前は挙がっていません。

この論文はオープンアクセスで、CC-BY のライセンスで公開されています。

元の論文のどこを見ればよいか

元の論文は、次のとおりです。

Nagata JM ら. Smartphone Ownership and Eating Disorder Symptoms in Early Adolescence. JAMA Netw Open. 2026;9(9):e2637897.

DOI のリンクはこちらです。https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2026.37897

この記事で扱ったことが、論文のどこにあるかを並べておきます。

  • 24.2%という数字と「4分の1近く」という言い方:Results の中ほど、症状の割合を紹介している段落。考察の後半にも同じ数字が出てきます
  • 米国の摂食障害の割合(女子3.4〜3.8%、男子1.2〜1.5%)と、16か国の系統的レビューの「5人に1人強」:Introduction の最初の段落
  • 診断の基準に届かない段階の症状も、生活の支障や進行の危険と結びつきうること:同じ段落の終わりのほう
  • 12歳が12.00〜12.99歳であること、曝露は「12歳の時点での所持」であること:Methods の Independent Variable: Age of Smartphone Ownership の節の終わり
  • 所持を答えたのが保護者・養育者であること、機種と初めて手にした年齢も聞いていること:同じ節の前半
  • 兆しを答えたのが子ども自身であること、4つの質問の中身:Methods の Dependent Variable: ED Symptoms の節。質問の中身をまとめた表は補足の資料
  • 共変量の全一覧と、それが year 2 に測られたものであること:Methods の Potential Confounders の節
  • 断面と縦断の定義、縦断が12歳の兆しも調整していること、重み付けのこと:Methods の Statistical Analysis の節。Table 2 の注にも書かれています
  • 8957人、6225人(69.5%)という内訳:Results の最初の段落と Table 1
  • 比べる前からの違い(性別、人種、民族、収入、学歴、思春期の段階、体重、機器の所持):Results の最初の段落の終わりと、Table 1
  • 4項目と「いずれか」の、12歳と14歳のもとの割合:Table 1 の下のほう、ED symptoms と書かれた2つのかたまり
  • 人数が重みなしで割合が重み付きであること、欠測で列の合計が合わないことがあること:Table 1 の注
  • 調整後の10個の比と幅と p 値:Table 2。文章では Results の最後の段落
  • 体重が増えることへの心配が関連しなかったことと、その理由の見立て:Discussion の前半、最初の段落の終わりのほう
  • 性別で分けた結果:Results の中ほど(女子と男子を比べた形)と、Discussion の最初の段落(女子の中での関連を見た形)。数字は補足の表
  • 仕組みの仮説:Discussion の、The observed associations may be explained で始まる段落と、その次の段落
  • 摂食障害が深刻で命に関わることもあること:Discussion の後半
  • 著者の限界8つ:Discussion の Limitations の節。上に並べた順と同じ順で書かれています
  • 著者が挙げた強み(診断の基準に届かない段階を拾えること):Limitations のすぐ前の段落
  • 資金、利益相反、資金提供者の関与:記事の末尾の、記事情報の欄

見方を練習するために

この回の芯は、1つです。

数字を見たら、何を数えた割合なのかを探すこと。

「4人に1人」という言い方は、強く残ります。ですが、この論文が数えていたのは、4つの質問のどれかに「はい」と答えた子でした。摂食障害と診断された子ではありません。論文の冒頭に並んでいる背景の割合を見れば、大きく違うことはすぐ分かります。

そして、もう1つ。この研究では、スマートフォンのせいだとは確かめられていません。著者自身が、ランダムに割り付けていないので因果は確かめられない、逆向きの順番も否定できないと書いています。持っていた子と持っていなかった子は、比べる前から家庭の状況まで違う子たちでした。

だから、練習することは難しくありません。割合が出てきたら、分子に入っているのは何なのかを探す。診断なのか、質問への答えなのか。それだけです。

この見方に一番近い本として、『「原因と結果」の経済学』を挙げておきます。相関と因果の違いそのものを扱った本です。2つのことが一緒に動いて見えるとき、片方がもう片方を起こしているのか、それとも両方を起こしている第三のものがあるのか。その見分け方を、いくつもの例で追っていきます。この記事のページでは、この書名にアフィリエイトのリンクを付けています。

最後に、もう一度だけ書いておきます。

「4人に1人」は、摂食障害が4人に1人という意味ではありません。12歳でスマートフォンを持っていた子のうち、14歳の時点で4つの質問のどれかに「はい」と答えたのが24.2%だった、ということです。12歳の時点でも16.1%が同じように答えています。持っていなかった子でも、14歳では15.5%が答えています。

そしてこの記事は、スマートフォンを持たせることについて、どうすればよいかを助言するものではありません。この研究は持たせる時期を動かしておらず、何歳からなら安心かという問いには答えていません。ここで扱ったのは、1つの論文の中にある割合と比と、その幅の読み方だけです。

元の論文

Nagata JM ら. JAMA Netw Open. 2026.
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2026.37897

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『「原因と結果」の経済学』